『鬼滅の刃』に登場する上弦の参・猗窩座(あかざ)。圧倒的な強さと残忍な性格で恐れられる鬼ですが、原作を読み進める中で明かされる彼の過去は、多くの読者・視聴者の涙を誘いました。
この記事では、猗窩座がどのような人生を歩み、なぜ鬼となったのか、その過去を振り返ります。
◆ 少年・狛治(はくじ)としての生い立ち
猗窩座の人間時代の名前は「狛治」。父親と2人暮らしをしていましたが、幼い頃から病弱な父を支えるためにスリや喧嘩を繰り返す日々を送っていました。
しかし、狛治の行動に心を痛めた父は、「真っ当に生きてほしい」との願いを遺書に残し、命を絶ってしまいます。
父を救いたい一心で行動していた狛治にとって、これは大きな心の傷となり、彼の人生の転機となります。
◆ 武術道場との出会いと「家族」
父の死後、町をさまよう狛治は、ある武術道場の師範・慶蔵(けいぞう)とその娘・恋雪(こゆき)に拾われます。恋雪もまた病弱で寝たきりでしたが、狛治の手厚い看病によって少しずつ健康を取り戻していきます。
狛治にとって、慶蔵と恋雪はかけがえのない“家族”のような存在になり、彼は道場の跡継ぎとして真っ当に生きる決意を固めていきました。
◆ 幸せの崩壊と鬼への道
しかし、そんな穏やかな日々は突然奪われます。隣接する剣術道場が嫉妬により毒を盛り、慶蔵と恋雪は命を落としてしまいます。
怒りと悲しみに飲み込まれた狛治は、隣の道場の人間を素手で皆殺しにするという凶行に出ます。
心を壊し、生きる意味を失ったその時、鬼舞辻無惨が現れ、「鬼」となることを選ばされたのです。
◆ 鬼・猗窩座となった狛治
鬼となった猗窩座は、人間時代の記憶を失いながらも「弱者への嫌悪」「強さへの執着」を抱えるようになります。
それは、かつて守れなかった“誰か”を潜在的に追い求める行為であり、同時に自分自身への罰でもあったのかもしれません。
◆ 炭治郎との邂逅、そして涙
猗窩座は「無限列車編」で炎柱・煉獄杏寿郎と死闘を繰り広げ、その後「無限城編」で再び炭治郎たちと激突します。
戦いの中で、失われていた記憶がよみがえり、猗窩座=狛治としての過去と向き合う場面は、シリーズ屈指の名シーンと評されます。
「人を守る力こそ本当の強さ」という炭治郎の言葉が、猗窩座の凍りついた心に届いた瞬間、彼の魂はようやく救われたのかもしれません。
◆ まとめ:悲しみの果てにあったもの
猗窩座は、ただの敵キャラではなく、過去に深い痛みと喪失を抱えた悲劇の存在です。彼の強さと怒り、そして苦しみの根底には「誰かを守りたかった」「真っ当に生きたかった」という想いが確かに存在していました。
鬼滅の刃が多くの人に愛される理由のひとつは、こうした“敵にもドラマがある”という点かもしれません。
猗窩座というキャラクターの背景を知ることで、彼の最後の戦いがより深く心に響くはずです。
コメント